こんにちは、こんばんは
ニュージーランドに秋がきました。
基本的に秋冬は雨季です。
この時期にたっぷりの雨を頂いて、1年間に必要な水を蓄えます。
最近は乾季、つまり夏の間に水不足が言われるようになりました。
気候の変動は世界規模で起きています。
さて、今日は紙砥石について書いてみようかなと思います。
このブログはこんなオッサンが書いています。
- 海外生活が人生の半分になってしまいました。
- お料理をして生計を立てています。
- 生きていくための料理人でした。情熱は無かったです。
- いつからかお料理に興味が湧き、自分を変えようとして自分なりに努力してきました。
- いつからかお料理で他人に認められたいと承認欲求が出てきました。良かれ悪かれですね。
目次
紙砥石とは
読んで字のごとくですね
紙のように薄くなった砥石のことです。
僕はこの砥石をみるたびに自分のことを誇りに思います。
なんで砥石なんかで難しい話になってしまうの?
道具は道具でしかない、それ以上でもそれ以下でもないでしょう?
モノ作りをしている人は尊敬されるべきだけれど、そのモノを使っている人は別に偉いわけじゃないよ? 否定するわけじゃないけれど、モノはモノでしかないよ?
もちろん砥石は砥石です
砥石を作る人は尊敬されるべきだけれど、だからと言ってその砥石を使う人は偉いわけじゃない、その通りです。
でも砥石をこの薄さになるまでメンテナンスを怠ったことが過去に一度も無かったということは僕にとって、料理人として誰に対しても胸を張れることなんです。
この砥石の購入は2年くらい前です。
僕は常時、10枚前後の砥石を持っています。靴のようにローテーションを組んで使っているので減りは少ないです。
その砥石が紙のように薄くなるまで2年かかりました。
繰り返しになりますが、その2年間ただの1度もメンテナンスを怠らなかったのです。
砥石のお手入れってご存知ですか?
砥石は使えば使っただけ、その面が削れて減ってしまします。
つまり平面でなくなり、凹凸ができてしまいます。この凸凹をほっておくと上手に研げません。
砥石で1番重要なのはその成分ではなく、研磨力でなく、使用者がいかに砥石の平面を保つ努力をするかです。
砥石直し砥石(面直し砥石)・・・なんかの呪文みたいでしょ?
これです
僕の砥石はこのサイズでした(僕の砥石は同じ研承3000ですが、タイプが’頂’です)
厚さが25ミリとありますね。
今では厚さ1ミリか2ミリぐらいです。
では、どうやって砥石のメンテナンスをするの?
- 砥石を水に漬ける
- 砥石と面直し砥石を擦り合わせる、砥石の平面を作る
- 包丁を研ぐ
- 包丁を研いでいる間に頻繁に砥石同士を擦り合わせ平面をつくる
- 包丁を研いでいる時間よりも砥石同士を擦り合わせている時間の方が長い日もある
砥石は基本的には使用前に水に漬けます。砥石の種類、性格にもよりますのでその砥石の説明書きに従ってください。
僕の使用する月山砥石は水に漬けるタイプです。厚さにもよりますが、30分から40分漬けて使用します。
お水に漬け終わったらいきなり使用するのではなく、上記の面直し砥石を使って平面になれ!!と念を押しながら砥石と砥石をすり合わせます。いろいろな方向から砥石同士を擦り合わせて平面を作っていきます。
平面が作れたと思ったら初めて包丁を研ぎます。
その包丁を研いでいる間にも砥石は削れてしまうので、頻繁に砥石の平面を直していきます。
包丁を研いでいるのか?砥石を砥石で研いでいるのか?分からなくなってきたら合格です(笑)
脳みそ麻痺してきたら達人です。
この砥石の平面を作る作業は本当に地味で地味で大変な作業です。
でも怠ったらそのまま包丁にかえってきます。切れない包丁の出来上がりです。
切れない包丁は道具として終わっています。
切れない包丁はキレた長州力くらいやっかいです。ダメです。
砥石のメンテナンスをみればその料理人の力量が伺えます。
たとえ今、お金を稼げている料理人でも数年後はダメになっているでしょうね。
時間の問題だと断言できます。
ビジネスマンとしては優秀かもしれませんが、料理人としては尊敬はされないでしょうね
僕は一流ではありませんが、心意気と道具の管理だけは一流に負けないようにしているつもりです。
だってそれは自分の自己管理、時間管理で解決できるからです。たったそれだけのことで日本の一流の料理人様と同じレベルの包丁を使ってお仕事ができるのです。
それって凄いことじゃないですか?
その磨き抜かれ、研ぎ抜かれた包丁を使う時間は僕にとっては至高の時間です。
日本での就業経験を持たなかった僕は日本の料理人様にたいして大きな憧れがあります。
こんな記事も書いた事があります
書評日本料理はなぜ世界でいちばんなのか 私が「吉兆」で学んだ板道場
砥石を紙のように薄くなるまで使うということは料理人の矜持です。
生き様です。
つよくつよく”ああなりたい”・・と思う心が砥石のメンテナンスをさせるのです。
いつかあんな風な料理人様になりたいな・・・
いつかあんな風なお料理ができると良いな・・・
憧れと嫉妬と努力で明日も砥石を擦ります。
今日も最後まで読んでいただいてありがとうございます。